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『BIUTIFUL ビューティフル』 感想&予告編

前回ご紹介した『マイ・ライフ』では末期のガンと診断された主人公が、まだ妻のおなかの中にいる子どものために何かを残せないかとビデオレターを作成していました。
今回のこの映画ではやはり末期ガンである主人公が娘と息子のために何かを残そうとあがきます。

「人生の最後の時間」つながりの二作品。
末期がんという設定は同じですが、色合いはガラリと違う作品になっています。

「”絶望”の中にも必ず"光"は存在する。」― その光の美しさに心がふるえた映画です。

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BIUTIFUL ビューティフル@ぴあ映画生活
2010年:スペイン、メキシコ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス、エドゥアルド・フェルナンデス、ディアリァトゥ・ダフ、チェン・ツァイシェン、ギレルモ・エストレラ、ルオ・チン
公式HP:BIUTIFUL ビューティフル
満足度:★★★★★

あらすじ
スペインのバルセロナに暮らすウスバル(ハビエル・バルデム)は、妻と別れ、二人の子どもを育てていました。
彼はアフリカ系や中国系の不法移民たちへの仕事の口利きや、警察への仲介などで収入を得ていましたが、ある日、末期ガンで余命二ヶ月との宣告を受け・・・

感想
久しぶりに胸にずしんと響く骨太な映画に出会いました。素晴らしかった!!!
暗そうな内容、140分と長めの時間。自分のコンディションは寝不足。と、寝落ちの可能性じゅうぶんだったのですが・・・
いざ始まると眠気なんて吹き飛んで、物語にぐいぐい引き込まれていきました。

物語の主人公ウスバルは不法滞在者に働き口を世話するブローカーもどき。
ブローカーというと弱者から金をむしり、自分は裕福な暮らしをしているようなイメージがありますが、ウスバルはそう悪徳でもない様子。というのは彼の暮らしぶりがそんなに潤っているとは思えないから。

だからといって、じゃあ、ものすごく善人なブローカーなのかというとそういうわけでもなく。非情になりきれない中途半端な優しさ。
これはブローカーを稼業としていくにはマイナスでしかなく、物語が進むにつれ、その中途半端な優しさが一因となって引き起こされる悲劇も描かれていきます。

この映画の本筋は、末期ガンで余命2ヶ月と宣告されたウスバルが、大切なふたりの子どもたちに何を遺せるか、残りの時間をどう生きるかというものなのですが・・・

彼がブローカーとして関わる人たち -麻薬やバッタもんのブランド品を売り歩くセネガル人、セネガル人が売る品を作製したり建設現場で働く中国人― を描くことで、スペインの社会問題(否、世界中の先進国と呼ばれる国で起きているであろう問題)が浮き彫りにされていました。(以下、少しネタばれ入ります)

摘発されることに怯えながらも、生活のために、偽ブランド品のみならず麻薬をも売り始めるセネガル人の男。結局、彼は強制送還の処分になりますが、妻には「赤ん坊とスペインに残れ!」と何の迷いも持たずに、必死に説得します。
一緒に帰りたいと切望しながらも、そうできない妻。

そのいきさつからはセネガルの社会情勢の悪さも垣間見られ、なんともギュッと胸がしめつけられました。

そして、さらに胸が苦しくなる事故が肉体労働に従事している中国人たちの身におきます。
彼らは布団がしきつめられた1つの部屋で、男も女も赤子も関係なく寝ているのですが、少しでも暖がとれればとウスバルが購入した安物の中古ストーブによって、全員、二酸化炭素中毒で亡くなってしまうのです。その数、二十名ほど。

そして、実は、ウスバルには、「未練を残して死んでいったものたちをみられる」という霊媒者の能力があり・・・。

中国人たちが寝ていた部屋で、彼らの無数の苦しみを耳にし、どうしようもない後悔の念にさいなまれます。欠陥品だと分かっていながら、安いからという理由でそのストーブをどうして買ってしまったのか。
それはもちろん、自分の愛する子どもたちに少しでも多くのお金を残したかったからなのですが・・・。

と。急に、霊媒者と言われると、「んんん?」と話の方向性が分からなくなってきてしまうかもしれませんが、彼が霊媒者ということは、物語の序盤にとあるエピソードで挿入されています。

普通の人とはちがう能力。けれど、ウスバルはその力を使ってうまく生活することができるわけでもなく、たまに葬式に呼ばれては、死者の声を残った親族に伝え、小金を手にするくらい。
しかも、その「声」が必ずしも親族にとって良いものではないので・・・。

もっていても、辛いだけの力。
そして、ふいに自分にもたらされた不治の病。
それなのに、から回りしてばかりの仕事。
何より、一番の心配の種の、子どもたち。

子どもたちの母親は精神を病んでいて、そのためからか、完全なる薬中毒。もう別れてはいるのですが、金をたかりにきたり、復縁したいとせまりにきたり。
ウスバルも完全に彼女への愛を失っているわけでもないような、そして、また、彼女に子どもたちをまかせられればという思いから(きっと)、また一緒に暮らし始めるのですが・・・

これもまた、やはり、うまくいかない。

この母親役のキレ具合、マリセル・アルバレスの演技がはまっていました。長女役の子との見た目も雰囲気似ていて、良かったですし。
でも、やはり、ハビエル・バルデムです!すごすぎます。

いや、ここまで、長々といろいろ書いてきてしまったんですが。
正直、わたしがつらつら書いた内容のどこを見ても、ウスバルの良いところって感じられないですよね?

彼が演じたウスバルという男は本当に子どもたちを愛しているのですが、彼が子どもたちのためにすることといえば、稼いだお金を全額たんすの中に隠すということ。銀行に預けるでもなく、弁護士に自分の死後、どうこうしてくれと託すわけでもなく。
挙句、そんなに付き合いもなかったセネガル人の女性に「子どもたちのために使ってくれ」とお金のありかを教えてしまうっていう。・・・。

要するに、ウスバル自身、なんの教養も持っておらず("BEAUTIFUL"のスペルをタイトルのとおり"BIUTIFUL"と子どもに教えてしまうくらい、ね)、だからこそ、まっとうな仕事にもつけなかったし、クレイジーな女性をつかまえてしまったと。

だけど、こんなどうしようもないウスバルという男を、ハビエル・バルデムが演じると、妙にしっくりきてしまうんですね。霊媒者なんていう、うさんくさい能力を持っているっていうのも、なんとも自然に演じてしまっていて・・・。

いやはや、本当、あの悲哀、素晴しすぎました。
そして、映画の始まりと終わり。その美しい映像&エピソードに、惚れ惚れしました。

ふと気がつけば、延々と書き綴ってしまっていましたが、全てはハビ様です!
この映画、ハビエル・バルデム以外の誰が演じても、わけが分からないただの暗い作品になっていたと思うのです。ハビ様、万歳!
彼の存在感たるや、本当に本当に凄いです。

暗いし、救いもないし。だけれど、物凄く感動的な作品です。

追伸:中国人グループのボスに男の愛人がいるというエピソード。
やや蛇足的に感じながらも、愛人がボスに色仕掛けするシーン、色気がありすぎて、やられました。愛人役のルオ・チンもボス役のチェン・ツァイシェンも素敵~♪



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予告編
http://youtu.be/h5O9ah7H5fg



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