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『ソハの地下水道』 感想&予告編 ― ユダヤ人救出の真実を基にしたキリキリ痛む物語

4月だというのに、最低気温3度、最高気温6度というまさかの寒空。(東京)
毎日の寒暖差についていけず、ダルダルな本日。先日見て、ドドンと凹んだ一作をご紹介いたします。

見るタイミングを計らないととんでもないことになる映画ってありますよね。
これもかなり胸が痛み、人間の愚かさに苦しくなるので、自分のコンディションが悪い時に見たら、立ち上がるのが大変だと思います。
それでも、素晴らしい出来であることに変わりはないので、ぜひ、余裕のある時に心してとりかかってみて欲しい一作。

自分の「良心」に正直に従う、それがどれほど偉大なことか。人間がいかに自己中心的で愚かなことか。身に染みる一作です。

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満足度:★★★★
2011年:ポーランド、ドイツ、カナダ
監督:アニエスカ・ホランド
出演:ロベルト・ヴィエツキーヴィッチベンノ・フユルマンアグニェシュカ・グロホウスカマリア・シュラーダーヘルベルト・クナウプ

あらすじ
1943年のポーランド。
水道労働者のソハ(ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ)は貧しい暮らしを凌ぐため、地下水道に盗品を隠してそれを売りさばいていた。ある日、ソハはナチスの迫害から地下に逃れたユダヤ人たちに出会い、金目当てで彼らをかくまい始めるが・・・。

※実話を題材にしたロバート・マーシャルのソハの地下水道 (集英社文庫)同名書籍(集英社文庫刊)を映画化した作品である。

特徴と見どころ
・人間の愚行に始終胸がキリキリ痛む
・多面性を見せる人物像が人間臭くて花マル
・地下に潜むユダヤ人キャストたちの迫真の演技


感想
最初から最後まで苦しかったです。
それこそ、地下水道に潜ったユダヤ人たちの息苦しさをそのまま感じているかのように、苦しくって、何度も見るのをやめたくなったけれど、それでも、ぐいぐい物語に引き込まれていきました。

ユダヤ人たちを地下水道にかくまったポーランド人レオポルド・ソハの実話を元にした映画なのですが、ソハは決して紳士でもヒーローでもありません。
水道労働者で貧しい生活を送る彼は、ゲットーに連れ去られたユダヤ人の家から金目になりそうなものを盗み出しては地下水道に隠し、時を見てそれを売りさばいていたのです。
そんな時に、地下水道に逃げ込んだユダヤ人と出くわしたソハは口止め料をとり、彼らを見逃します。

ソハと一緒に泥棒稼業をしていた若き相棒はユダヤ人を助けることで自分の身が危うくなることを恐れ、ソハの行為に反対しますが、そんな相棒にソハはこう告げるのです。

「通報はいつでもできる。絞りとれるだけ絞りとって、それから通報すればいいさ」


ニヤッと笑うその姿。「助けられるのは11人までだ」と言い切り、「ユダヤ人は自分の命まで値切るのか?」と言いつのる冷酷な態度。
対してユダヤ人のほうも黙ってはいません。暴言を吐くのみならず、ソハのことを殺してしまおうと小競り合いまで起こします。けれどリーダー格の男はソハを殺してそれがバレることを恐れ、それならば金を渡して支援してもらった方が得策だと考えるんですね。

自らの生活やまして生死がかかる中、誰もかれもきれいごとばかり言ってられないし、やってられないのは当前のこと。

ソハの奥さんはとても素敵な人なのですが、彼女にしたって、ウクライナ人の将校がユダヤ人を通報して報奨金をもらうことを「人間として最低の行為」だと裏では批判しているけれど、表立って楯突くようなことはしないし、ユダヤ人をかくまおうとは思いません。
だって、自分だけではなく、自分の子どもの身を危険にさらすことになるんですもの。
それでも、ソハにしろ、ソハの奥さんにしろ、最終的には自分の良心に従って行動するのです。

水道労働者のソハにとっては迷路のような地下水道も勝手知ったる自分の庭。ユダヤ人をかくまい、少しばかりの食料を運ぶのに不都合はないはず、そう思って始めた商売。
けれど、実際にやってみたら、戦時下で困窮する中、食料品店のおかみさんには疑いの眼差しを向けられるし、仲の良いウクライナ人の将校からもユダヤ人がいたら報告しろと始終プレッシャーをかけられるし…で、予想以上に自分自身、そして自分の家族を危険にさらすことに気が付きます。

しかも、その危険を匿われているユダヤ人たちが気にする様子は勿論なく ― だって、彼らは彼らの身を守ることで精一杯ですもの ―、次第に追い詰められていきます。
そして、一度はもう支援をやめようと決意するのですが・・・

自分が見捨てた多数のユダヤ人が地下水道の中で殺されているのを見たり。ドイツ兵一人が殺されたことにより、自分の相棒を含む無実のポーランド人が10人処刑されたことを知ったり。
はたまた、匿っていた場所から逃げ出したユダヤ人が死に絶えているのを発見したり。
そんな悲惨な状況を目の当たりにするうちに、どうにも、心の奥底の良心がうずき始めるんですよね。

そして、次第に、その声に従わざるを得なくなっていく。

「金も受け取らずに支援する奴って思われたくないからな」


そう言って、無一文になったユダヤ人のリーダーに来週分の金を渡して、みんなの見ている前で金を払えとぶっきらぼうに言うソハには泣けてきました。
ソハの奥さんもそう、彼といたら自分と子どもに危険が及ぶと分かっていながら、それでもソハの元を去ることができず・・・。地下水道で生まれた赤ん坊の話を聞いた時には、思わず、「わたしの弟の赤ちゃんってことにする?」と赤ちゃんを助ける算段をもちかけてしまうのです。

過酷な状況下で、この良心に耳を傾け、実行するということがどれだけ尊いことか。

結局、赤ん坊は泣き声から居場所がばれることを恐れた母親が自ら窒息死させてしまったのですが、このくだりは物語の中でも一番辛かったです。
自分が母親になって実感したこと、それは子どもというのは本当にかけがえのないものだということ。

たとえば「おまえの命と引き換えに100人の子どもの命が助かる」と言われたら、もしかしたら自分の命は差し出せるかもしれないけれど、「おまえの子どもの命と引き換えに1000人の子どもの命が助かる」と言われたら、それはもう迷わず、却下で。
だから、そんな風に大切な誰かの赤ちゃんや子どもが傷つけられている姿を見るのは本当に辛くて、昔よりもずっと骨身にこたえるのです。

・・・と、少し話がそれてしまいましたが・・・

地下水道に潜んだユダヤ人たちが徐々に憔悴していく様子は真に迫っていました。頬のこけ方や汚れ以上に、それぞれの絶望に満ちた眼差しが印象的で・・・。

それにしても、あの過酷な状況の中、それでも序盤にはセックスシーンが散りばめられており、しかも、妻や子どものすぐそばで愛人に手を出す姿とかが描かれていて・・・真偽のほどは分かりませんが、なんか凄いなと思いました。
過酷な状況だからこそ、種の存続を人間の本能が求めていたのか否か・・・。

ソハがしたことは結果的には表彰されたけれども、皮肉なことに、彼がかかわったことによって殺された無実のポーランド人の数と彼が助けることのできたユダヤ人の数は劇中ではほぼイコールなんですよね。
戦争が終わり、無事、ユダヤ人たちを地下水道から助け出したソハの喜ぶ姿をうつした後、映画の幕はこうとじられます。

ソハはその後しばらくしてソビエト軍の暴走トラックから娘を救ったために事故死する。
ソハの死を「ユダヤ人を助けた天罰」と言う者もいたように、人間は神を利用してまでお互いを罰したがる。


とても心に残る幕切れでした。
繰り返しになりますが、ぜひ、心が元気な時に、ご鑑賞ください。(もしくはとことん堕ちたい時に・・・)


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予告編
https://youtu.be/e7vYB13HnWI






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