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『少年は残酷な弓を射る』 感想&予告編 - 母目線で見るとズシンとくるものが・・・

ウォールフラワー』で一目惚れしたエズラ・ミラーが出ているということで気になっていた作品。
数か月前から借りようと思いつつも、何度か見逃したのは、タイトルからして重そうで、後味が悪そうな感じがしていたから。蓋を開けてみたら、もっとグロいのを想像していたからか、後味は思ったほど悪くはなかったです。

でも、一言で表すのは難しい、ずしんとくる一本でした。

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満足度:★★★★
2011年:アメリカ、イギリス
監督:リン・ラムジー
出演:ティルダ・スウィントンジョン・C・ライリーエズラ・ミラー

あらすじ
自由を満喫しながら生きてきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)は、妊娠を機にそのキャリアを投げ打つことに。
妊娠期から赤ん坊を持つことに戸惑い気味だったエヴァは生まれてきた息子ケヴィンをうまくあやすことができず、育児ノイローゼーのようになってしまう。敏感なケヴィンはそんなエヴァに決して心を開こうとせず、二人の溝はどんどん広がっていき、やがて美少年へと成長したケヴィン(エズラ・ミラー)は不穏な言動を繰り返し始め・・・。

特徴と見どころ
・母としては身につまされるテーマ
ティルダ・スウィントンの憔悴ぶりに圧倒される
エズラ・ミラー及び各年代を演じた子役の2人が素晴らしい


感想
エズラ・ミラーが出ている映画が見たいなと思ってレンタル。タイトルと何かで仕入れた前情報から「少年が残虐な事件を起こす」お話しで、少年が主人公かと思っていたら、ちょっと違っていました。
物語の視点は少年の「母親」にあります。

最初に登場するのは、憔悴しきりながらもどうにか日々の生活を送っている中年女性。彼女がケヴィンの母親で、母親の回想の形で物語は進んでいきます。
回想は必ずしも古い順というわけではなく、母親が思い起こす順番で、近い過去の思い出から古い思い出が掘り起こされたりしていきます。虚ろな目で薬とワインを手にするこの女性の身に一体何があったのか?心がざわつく幕開けです。

タイトルからして自分の息子が何かをしでかしたことは明らかですが、それは一体何だったのか?答えは見え隠れしながらも、はっきりした答えが示されるのは物語の終盤です。なので、最初から最後までけっこうな緊張感がありました。
まるでミステリーやサスペンスを見ているかのような逼迫感。
けれど、これはミステリーでもなく、サスペンスでもなく、どの母親にも起こり得るかもしれないドラマで・・・それを思うととても身につまされました。

世界中を旅して、冒険譚を書いていたエヴァは旅先での情熱的なロマンスで妊娠。
幸せそうな妊婦が集う母親学級のようなシーンでは一人沈鬱な面持ちのエヴァが映し出されます。そして生まれてきた赤ん坊を喜びいっぱいの顔であやす夫の横にはただただ放心した表情のエヴァ。
その後待っていたのは泣き止まない赤ん坊の世話。

ケヴィンと名付けられた赤ちゃんはエヴァが抱っこしても泣き止まないのに、不思議と父親にはおとなしく抱っこされていて・・・。
泣き止まないケヴィンをベビーカーに乗せて外を散歩し、工事現場の爆音の中、ケヴィンの鳴き声がかき消されるのをほっとした表情で立ち尽くすエヴァがとても印象的でした。その様は完全な育児ノイローゼーなのに、夫はそんな彼女を気にかけることなく、ただひたすらケヴィンを可愛がるのです。

なんだか、ゾッとしました。
エヴァに対して赤ちゃんに対する愛情が足りないと言うことは簡単だけれど、でも、彼女の戸惑いや恐れ、赤ん坊の世話で疲弊した心に誰かが気づいてあげられたら、寄り添ってあげられたら・・・
それにしても、現在の憔悴しきったエヴァはもちろん、過去折々で見せる彼女の表情には胸に迫るものがありました。

扱いずらかった赤ん坊はやがて扱いずらい幼児へ成長していきます。
エヴァは普通とは違うのではないかとケヴィンを受診させますが、医師からは「何も問題はない」と追い返されてしまいます。引きつった笑顔で懸命にケヴィンに物事を教えようとするエヴァ。
けれど、ケヴィンはそれをあざ笑うかのような行動ばかりします。愛らしい容姿とは裏腹に、底意地の悪い眼差し。

赤ん坊が母から愛情を注がれていないことに気づいた結果というには、あまりにも悪魔的な子どもですが・・・
ケヴィンは人の何倍も敏感で、そして賢かったのかもしれません。
この時期もケヴィンは父親にはうまい具合に甘えて可愛い息子を演じています。天使と悪魔、両方の顔を知っているエヴァはいよいよ追い詰められていくのですが、夫は郊外に引っ越せば解決するとさっさと家を買ってしまいます。

そして、そこで、第二子を妊娠するエヴァ。
いつまでも泣き続けていたケヴィンとは違う、二人目の赤ちゃん。あの時に比べたらなんて可愛い事だろう!エヴァは生まれてきた女の子を愛おしそうに抱きかかえます。
その様子をじっと見つめ、珍しくエヴァに甘えていくケヴィン。そのケヴィンの様子に浮き立つエヴァ。

ケヴィンの子ども時代を演じた2人の子役の子、2人とも天使と悪魔の顔が巧すぎました。
その後の成長した少年をエズラ・ミラーが引き継ぐのですが、彼とのシンクロ具合もばっちり。エズラ・ミラーの母親の心を射抜くような冷たい視線、幼い2人の意地悪な眼差しにも同じものが秘められていました。

そして、エズラ・ミラーです。
彼が主人公とばかり思い込んでいたわたしは彼がなかなか出てこないことにヤキモキしていましたが。
美しい容姿に見え隠れする得体のしれない残虐性。
エヴァ役のティルダ・スウィントンとのシンクロ具合。2人が母息子だというのはとても納得のいくキャスティングで、かつ、2人の演技はとても素晴らしいものだったので。
だから、冷静に考えると色々つっこみたくなるところ、あまりつっこまずにいられるのかなと思います。

ここまで予想以上に長く書いてしまったので、肝心のエズラ・ミラーのところで息切れしてきてしまいました。なので、ちょっと唐突ではありますが、ここらでまとめに入ります。
エズラ・ミラーの演技はどれも素晴らしかったのですが、特に心に残っているのはラストシーン。「どうしてあんなことをしたの?」とやっと聞くことができた母親に、それまでとは違う表情でケヴィンが言った台詞がストンと胸に落ちてきました。

分かっていたつもりだった。
けれど、今はもう分からない。


色々な意味が凝縮されているようなトマト祭りのシーンなど、印象的なシーンがそこかしこに散りばめられていました。もう一度見たらまたそこかしこに隠された意味がつかみとれるのかなと思います。
母と息子の痛くてやるせない物語、なかなかに印象深い一本でした。



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予告編
https://youtu.be/iHPubQIH5XY









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