以前、ゆず豆さんのブログ「
ゆず豆的鑑賞記」で紹介されていて気になっていたこの映画。
TSUTAYAで1本だけ何かを借りようと迷っていた時に目に飛び込んできたので、借りてきました。
ゆず豆さんが「掘り出し物発見。のんびりほのぼの暖かいお話。」とレビューされていて、それが胸に残っていたのですが、なるほど、確かにその通り!
派手さはなくのんびりしていますが、最後はジーンと心温まる良作でした。
満足度:
★★★★
2011年:ドイツ、トルコ
監督:
ヤセミン・サムデレリ
出演:
ヴェダット・エリンチン、
ラファエル・コスーリス、
ファーリ・オーゲン・ヤルディム、
アイリン・テザイル
公式HP:
おじいちゃんの里帰り
あらすじ
1960年代半ばにトルコからドイツに移住したフセイン・イルマズ(
ヴェダット・エリンチン)。出稼ぎ予定だった彼だが、離れて暮らす子どもたちの教育に頭を悩ませたことから家族を呼び寄せ、ドイツに定住することに。
しかし、70代を迎えたフセインは突然「トルコに家を買った」と言いだし、妻と長男、次男、三男夫婦とその孫、長女とその孫に一緒に里帰りするよう命じるのだった。かくして始まったトルコへの里帰りの行方はいかに・・・。
特徴と見どころ
・最初はまったり、じょじょにジワーン
・キャスティングのシンクロ具合が素晴らしい
・フセインじいちゃんが素敵で、若かりし頃も何気に恰好いい
感想
出稼ぎ労働者。
日本だと中国人やフィリピン人、かつては日系ブラジル人、今だと研修生という名のベトナム人なんかがパッと思い浮かびますが・・・なるほど、ドイツではトルコから労働力をつのっていたわけですね。
そしてその波に乗って、家族の生活を支えるためにドイツへ渡ったフセイン。彼はちょうど「1万1人目」のトルコ人労働者としてドイツへ入国します。
主人公はこのフセインなのですが、語り手はフセインの長女の娘チャナン。
彼女がもう一人の孫であるチェンクにチャナンが知っているおじいちゃんの昔話をすることで、フセイン一家の歴史をフィードバックしていきます。そしてそれと同時に、ドイツ人とトルコ人のハーフで自分のアイデンティティに戸惑っている小学生男子チェンクの問題、予期せぬ妊娠に困惑しているチャナンの生活を中心に、一家の現状が映し出されていきます。
最初はどこかまったりしています。
突然、「トルコに家を買ったから、家族全員でトルコに里帰りするぞ!旅費は俺が出す!」というおじいちゃんの宣言から始まるので、すぐさまトルコへの珍道中が始まるのかと思いきや、物語半ばまで旅は始まりません。
ひとまず、若かりし頃のフセインのこと、一家の現状が紹介されていくので、ロードムービーというものに心を踊らされていたわたしとしては若干肩透かしをくらった感がありました。
けれど、これが後々、じわじわきいてきました。
若かりしフセインとじいちゃんになったフセインのシンクロ具合はもちろん、彼の3人の息子と1人の娘の子ども時代とおっちゃん、おばちゃんになった時のシンクロ具合がばっちりで・・・
ああ、なるほど、あの子がこうなったのかぁと、性格的にも外見的にも納得がいき、うならされたのです。
そして、おじいちゃんが最高に恰好良い人でした。
妻にもトルコに家を買うという話はしておらず、突然「全員里帰りに付き合え!」と言ったじいちゃん。てっきり頑固で偏屈なジジイかとばかり思っていたら・・・
きっと、じいちゃんは何もかもお見通しだったんですね。
それはもしかしたら、長年異国で頑張って来たじいちゃんに対するアッラーの神の思し召しだったのかもしれません。
・・・なんていうと、ちょっと宗教色が入った物語のようになってしまいますが、そんなことは全然、なく。でも、じいちゃん、神がかっているほどに家族みんなの悩みを解決していったのですよねぇ。
何食わぬ顔で孫チャナンの妊娠を言い当てたり、直接何かをしたわけではないけれど、結果的にはトルコ行きが長男と次男を仲直りさせ、次男の行く道をつくったことになるし、もう一人の孫チェンクもトルコ人の血が混じっていることに自分なりの答えを見つけられたような。
じいちゃんがチャナンの妊娠を言い当てたシーン、とても良かったです。
大学院生のチャナン、イギリス人の恋人との間にベビーができてしまって・・・ただ妊娠するだけでもコトなのに、相手はトルコ人でもドイツ人でもなく、イギリス人。母親に打ち明けようとしてもタイミングよく切り出せず・・・
一人悩んでいるところにじいちゃんが来て「俺の目はごまかせん」って。相手がイギリス人ってことに、「何っ!?」って一瞬なるんですが、必死に怒り出すのをこらえて「まあいい、気にするな。大切なのは互いに愛し尊敬し合うこと。ママに話せよ。早めにな。」って。かっちょ良すぎますよね。
一見、頑固そうだけれど、家族への愛にあふれたじいちゃん。
じいちゃんは本当のところ、何を思って、あのトルコの家を買ったのでしょう?
みんながそこにたどり着いた時、最初はバラバラだった家族の想いはひとつになっていて・・・じんわり、心に温かいものがあふれてきました。
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予告編
https://youtu.be/dSM6cu_JH_g
コメント
IHURUさん、ご覧になったんですね。
本作は本当に徐々に徐々にじんわりといった感じでした。
本作は監督のおじいちゃんのお話がモデルとなっているんですって。
本当に粋なじいちゃんでした。
あと、トルコの風景も作風に彩を付けて良かったですねぇ・・・。
ゆず豆
2015/08/13 21:09 URL 編集返信ゆず豆さんのレビュー見て気になっていたのですよ。確かに、リトル・ミス・サンシャイン彷彿しますねぇ。
トルコの風景、特にじいちゃんが買った家(!?)のところはやられましたねぇ。
今と昔の自分が並ぶラストシーン、とても良かったです!
ゆず豆さんが紹介してくれてなかったら、出会わなかったかもしれない小作品。ありがとうございます♪
ihuru
2015/08/14 08:59 URL 編集返信