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『少年H』 感想&予告編 - 戦争の無慈悲さをしみじみと感じる一作

わたし実は小学生の頃、水谷豊さんが大好きでした。
夕方、刑事ドラマの再放送をやっていて、本気で恰好いいと思っていたんですよねぇ。なんて渋い趣味だったんでしょう。
そういえば、近所の大工のおじさんのこともかなり好いていた時期もあるし、中村正俊さんとかも好きだったし・・・まあ、普通に光GENJIの大ファンでもありましたが、今思うとちょっと変ですね。

今は特にファンでもなんでもない水谷豊さんですが、こういう優しい雰囲気を漂わせつつも芯が1本通った強いお父さん像はとても似合っていました。戦争の無慈悲さとその後の空虚さをしみじみと感じた一作です。

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満足度:★★★★
2012年:日本
監督:降旗康男
出演:水谷豊伊藤蘭吉岡竜輝花田優里音小栗旬

あらすじ
昭和初期の神戸。洋服の仕立て職人の父・盛夫(水谷豊)とキリスト教徒の母・敏子(伊藤蘭)の間に生まれた肇(吉岡竜輝)は、胸にイニシャル「H」が入ったセーターを着ていることからエイチと呼ばれていた。
好奇心旺盛で曲がったことが嫌いな肇だったが、可愛がってくれていた近所のうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)が特別高等警察に逮捕されるなど、第2次世界大戦の開戦を機にその生活は暗い影を帯びていき・・・。

※1997年、講談社より刊行された妹尾河童の自伝的小説『少年H上下巻セット』が原作
特徴と見どころ
・少年の目を通して見る戦争の理不尽さ、無慈悲さ
・仕立て職人としての誇りを全うする父親が素晴らしい
・その父のミシンを命懸けで守ろうとする家族の絆に感じ入る


感想
TV放送されたのを録画したままずっと放置していたのですが、次女が熱を出した日に抱っこで寝かせながら鑑賞しました。わりと長めだったのですが、娘を抱っこしながらも、どっぷりとその世界に入り込んでしまいました。
当たり前ですが、やはり、戦争というものは絶対にあってはならないもの。モノだけでなく、人のココロも容赦なく破壊してしまうものなんだなと強く感じました。

主人公は小学6年生の肇くん。
必ずしも彼の目線で語られるわけではないのですが、基本的には彼の目を通して、戦争の理不尽さ、無情さが描き出されていきます。
洋服の仕立て屋を営む職人の父と熱心なクリスチャンである母に育てられた彼は、彼の周りにいる同級生たちよりもちょっとだけ外国に対して知識があります。それ故、戦争が始まった時から、「アメリカに勝てるのか?」という疑問が頭にあり、軍国主義に傾倒していく学校や同級生たちに違和感を感じています。

映画はそんな肇くんの周りで起こっていく出来事を客観的な視線で描いていきます。
映画の冒頭では母の手縫いの”H”とイニシャルされたセーターを着ていて、仲間から「エイチ」と呼ばれていた肇くん。でも、戦争が始まり、アルファベットのセーターはいつしかほどかれてしまいます。
野球をする時に「ピッチャーは投手、バッターは打者、ほんなら、アウトはなんて言うんや?」みたいに子どもたちが首をかしげるシーンはまだほんわかしたもの。

事態はどんどん悪い方へと転がっていき・・・
仲良くしてもらった近所のうどん屋の兄ちゃんが”赤”の容疑で逮捕されたり。芝居役者だったなじみの客が懲役を苦に自殺したり。
自身の父親もスパイ容疑で連行され拷問を受けたことを目の当たりにし、肇くんは戦争の理不尽さをしみじみと実感していくのです。

洋服の仕立て職人である父親の顧客には外国人が大勢いて、それ故、父親はスパイ容疑として警察に目をつけられたのですが。 この父親がね、どんな時でも声を荒げずに、「あんたなぁ」と神戸訛り(?)の温和な口調で肇くんを諭すとても素敵なお父さんでした。

お得意さんのポーランド人から密入国したユダヤ人の洋服の手直しを頼まれれば、肇くんをお供に出向き、ごっそりと服を持ち帰る。憔悴しきっているユダヤじんたちに「大丈夫ですよ。直りますよ。」と肩や足に手を置いて言って回り、肇くんには「日本とドイツは同盟国やから、ドイツが敵としているユダヤ人を助けることはできないんや」と淡々と話す。
自分はユダヤ人を助けることは出来ないけれど、でも、彼らの洋服を手直しすることは出来る。それは職人としての誇りでもあり、自分の出来ることはしっかりやり通すという信念でもあり。

この時代の中で、冷静に事態を見極めていた人。
それは、ただそれだけでも、とても凄いことに思います。
それ故、戦後、空襲で焼け野原となってしまった神戸の街で「もっと出来ることはなかったんやろうか」と呆然としてしまうのですが、それでも、肇くんの「みんなもっと適当にやっとるんやで!」(学校の先生たちが時計屋や質屋に早変わりしたのを見て)という言葉に息を吹き返し、またミシンを踏み始めることが出来るのです。

このラストシーンからは親も子もお互いに成長を助け合っているのだなぁと感じたりもしました。
でも、職人としての父親が肇くんにとっては本当に大きかったから、だから、空襲警報が鳴り響き、ミサイルが落ちてくる最中も、必死になってミシンを運び出したんだと思います。それは肇くんのお母さんにとっても同様で。
自分たちの命がかかっている時に「お父ちゃんのミシンを守らなきゃ!」そんな風に一致団結できる家族って凄いなぁと思いました。

空襲が始まった時、肇くんは「花火みたいやなぁ。きれいやなぁ。」と一瞬、ぼおーっと空を眺めるのですが・・・
斜めに突き刺してくるミサイルの様子はずしんと心に突き刺さってきました。
子どもたちがこんな恐ろしい目にあうようなこと、どんな理由があるにせよ、やはり絶対してはいけません。
一夜にして焼けつくされた神戸の街。そして玉音放送。

「戦争反対」という声は一度たりともなかった本編ですが、肇くんの純粋な疑問や違和感、そして、そこで起きていった事態がそのままに映し出されることで、「戦争はアカン」と心にじわりじわりときた映画です。
また、家族の絆、お父さんとお母さんが子どもに見せる真摯な姿勢がいかに大切か感じることができました。いつか原作も読んでみたいと思った一作です。



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予告編
https://youtu.be/Du-p0UsLbiQ




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