AmazonPrimeで視聴。特に深い理由はなく、出演者でなんとなく選んだ一作。
40代になった今だからこそ、面白みを感じる映画かな。分かる、分かる、と共感できるところがたくさんありました!
満足度:☆☆☆☆
2017年:日本
上映時間:117分
監督:遊川和彦
出演:阿部寛、天海祐希、菅野美穂、相武紗季
あらすじ
ひとり息子の正が結婚して家を出たことで、2人きりになった陽平と美代子の宮本夫婦。2人は大学生時代にできちゃった婚(授かり婚)していたため、50歳にして初めて夫婦ふたりきりでの生活を送ることになります。
そんなある日、陽平は美代子が隠し持っていた離婚届を見つけてしまい・・・。
感想
軽く楽しめました。うんうん、分かるわーと共感できる夫婦のあれこれ。
途中まではすっごく面白かった。最後のオチっていうか、美代子が洋平に内緒で離婚届を書いていたんだけど、その理由がマイナスの意味で可愛いすぎました。
もう少し、夫や結婚生活に対する溜まった不満が描かれた方がリアルで良かったかな、と。
でも、とにもかくにも、洋平演じた阿部寛さんがチャーミングでした。
優しいけれど、優柔不断。
50代の中学生教師。生徒からは慕われているような、なめられているような・・・。
自分が子どもの頃って、「大人は何も分かってくれない」とか「大は何も分かっちゃいない」とか「大人には分からないよねー」とか逆に「大人になったら何も悩みなんてないんだろうなー」って思ってたりしていたんですが。
違いますよね。いくら歳を重ねても、悩むものは悩むし、どうしていいか分からないものは分からない。
ま、10代の時に抱えていたモヤモヤした思いはもはやちっぽけなことに変わってしまったから、子どもからしたらやっぱり「大人は分かってくない」になるんだと思いますが。
・・・と、何だか自分語りみたいになってしまいましたが。
洋平も50過ぎても全然しっかりした自信なんてないんです。ちょっと不安な気持ちがダダ漏れすぎて、実際こんな人がそばにいたら、「もっとしゃんとしてよっ!」って怒っちゃいそうなんですけどね。
息子の正が家を出て行った夜、妻の美代子は「これからは夫婦2人の生活だから、お互いのことを『お父さん』『お母さん』というのはやめて、名前を呼び合おう」と提案。ワインをくいくい飲んで、なんだか久しぶりに迫ってきます。
たじろぐ洋平。「これはお誘いなのか?いったほうがいいのか?」という心の声。
結局、美代子は眠りにおちちゃって、彼女を動かそうとした洋平は「あいててて」と腰をおさえるんだけど。そうそう、そうなるよねーって、リアルさに爆笑してしまいました。
洋平には目下、ふたつの悩みがあって。
ひとつは本の間にこっそり隠されていた妻・美代子の署名が入った「離婚届」。彼女の真意が知りたいけれど、怖くて聞くことなんてできないし・・・。
もうひとつは教え子の母親が不倫相手と交通事故に合い、その子をどうフォローするか。その教え子はあえて道化を演じていて、洋平はその子になかなか気の利いたフォローを出来ずにいて・・・。彼の幼馴染の女の子からは教師むいてないよね、とどやされるし、彼のおばあちゃんは迫力あって怖いし・・・。
心に残ったシーンをひとつ。洋平が教え子のおばあちゃんと対峙した時におばあちゃんは「わたしは色々なことに耐えてきた。頑張ってきた。それなのに、あの嫁は・・・。」って怒っているんですね。
その時洋平は「確かに正しいです。でもそこに『優しさ』はありますか?」っておどおど口にするんですが。それがしみじみ良かったです。
全然しゃっきりしてないし、自信もなさそうに話すんですが。そこには確かに色々な人に対する優しさがありました。うん、優しさ、大切ですよね。
全体的にテンポよく、笑いをふりまきつつ、物語は進んでいきます。
少し残念だったのは美代子の描き方が浅かったことです。美代子には美代子の葛藤が色々あったはずだと思うんでなんですが、それはなんとなく男性目線の理想的な女性でおさめられてしまっているかな、と。
feat「恋夫家宮本」の二本立てだったらさらに楽しめるんじゃないかと思いました。
エンディングはまさかのミュージカル仕様で大爆笑!
ある程度歳を重ねているかたにおすすめの映画です。
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